抗議文
 
関係各位                                     2019年7月25日
日本野鳥の会西表支部
支部長 衣斐継一
電話 0980−85−5530
7月17日、18日に台風の中行われた「観光案内人条例(仮、略称)」の意見交換会が開かれました。未だ未定な部分もありますが、概ね、数回の研修を受ければ、誰でも(成人)ガイド登録ができ営業権を得ることができる条例であることが分かりました(島外、国籍を問わず)。この条例の目的の一つとして過剰利用の防止が挙げられていますが(既にIUCNが過剰利用を指摘している)、ガイドを増やしたのでは論理矛盾があります。町は「エコツーリズム推進法」で、入域規制を懸ける計画ですが、入域削減がより難しくなることが予想されます。むしろ、入域規制で発生する余剰ガイド対策や混乱を和らげるために十分な時間をかけて事業を進めるべきだと考えます。また、「カヌー組合」(略称)で、一定の入域規制やルールのあるヒナイ地区への、他業者の排除が困難になり、より一層の混雑と事故の可能性が高まるものと私達は予想します。
ちなみに、「エコツーリズム」では本来、保存地域の入域は想定されていないため、保存地域での利用の多い西表には不向きな方法だと考えます。私達は国の自然公園法の改正で法的に入域規制を行うのが王道だと確信しています。当面は自主規制で、「西表島カヌー組合」と同等の入域規制から始めるべきだと考えます。ガイド認定は国で国家試験として、@基礎的(全国共通)A分野別B地域特有C特殊知識や技能などの多重、多段的な認定制度を構築すべきだと考えます。過剰利用が現状である以上、ルールや入域規制を先行するべきで、営業権のあるガイド登録は慎重に実施すべきだと考えます。ルールや入域規制のない期間、確実に混乱や更なる過剰利用が予想されます。混乱が起きれば、入域規制を急ぎ、いい加減な入域規制を制定し、更なる混乱も予想されます。入域規制には公益性(公序良俗)があり、ガイド登録とセットにすることで、西表島への居住を義務付けることは可能だと私達は考えます。
更に、同時に一般観光客(団体客やフリー)や、一般人(島民など)その他の入域数の制限も行うことが、民主的で公平なやり方ではないかと考えます。IUCNの勧告でも総入域数の削減が必要であるとされていて、世界自然遺産を目指すのであれば、出発点はそこにあると考えます。
先に、改正された「(町)自然保護条例」(略称)でも僅か3種の水性昆虫だけが、採集禁止のため、何百、何千匹もの昆虫の採集が可能で、踏み荒らしも横行する事態になっています。そのことを教訓にガイド、ガイド業を現状より増加させる可能性のある条例は凍結するべきだと考えます。勇気ある撤退こそが、最善の策だと考えます。条例の目的を達せずに、ガイドに登録料や新たな研修義務、報告義務を負わせるだけのパワハラ条例になる可能性があります。先ずは、ガイド研修、養成を早急に実施しスキルアップを図るべきです。
更に、検討委員に当事者である事業者、ガイドを加えずに密室での話し合いは、不合理で実務的でなく実効性が望めないと、この案で、私達は確信します。
元々、世界自然遺産に匹敵する素晴らしい西表の自然を守るには、竹富町の財政規模(トイレ一つ満足に設置できない現状)や人材には限界があり、少なくとも沖縄県、国レベルでの取り組み(出先機関や特別部署、或いは財団の設置)が必要で、IUCNからの委員参加も必須だと私達は考えます。
以上